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Waipuに拠点を置くDurham Farmsの設立者エイドリアン・タウンセンドさんに、持続可能な農業についてお話を伺いました。どのようにしてコロナウイルス感染症流行をチャンスに変え、さらなる国内の農地拡大を視野に入れているかについて語っていただきます。

1、Durham Farmsについて教えてください。
この名前は、100年以上前にワイプの農家で食品サプライチェーンをやっていた地主の名前から付けました。会社自体は2014年に設立し、パートナーのウィrリアム・ワッツと私で日々の業務を管理しつつ、お互いの家族からも協力を得ています。乳製品、牛肉、菜園、鶏肉、卵、ハチミツといったいずれも有機栽培による作物栽培と畜産の混合農家を経営しています。その他、農場や近隣の自然を身近に感じられるラグジュアリーなグランピングサイトの運営も行っています。

広さ340ヘクタール(東京ドーム約67個分)に及ぶワイプの農場には、240頭のジャージー牛とホルスタイン牛に加え、60頭のプレミアムアンガス牛、そして牧草地飼育による2000羽の鶏と100個のミツバチ
巣箱、3ヘクタールから成る菜園、果樹園、オリーブ畑があります。事業を拡大した2018年以降からは、ワンガレイに食肉処理場と肉屋、更にカエオに360ヘクタールの農場も持っています。こうすることで、他のリソースに頼る機会を減らし、より効果的なクローズドループシステム(廃棄物を処理して再利用する手法)を用いた自社運営が可能になります。

Durham Farmsには、再利用可能な瓶入りの有機A2牛乳、様々な種類の牛肉製品、卵、ハチミツ、甘酢漬け、そして上質なサラダやマイクログリーンなどがあります。カフェやレストランに収めている再利用可能10リットルかん入り牛乳も、私たちの収入源のひとつです。

このビジネスを始めようと思ったきっかけは何です?
2011年、イギリスから引っ越してきた時に、当時のニュージーランドの食糧生産について知り、この分野で何かポジティブなアクションが起こせるのではと感じたからです。これは私とビジネスパートナー、私の妻が感じたことで、環境に配慮しながら上質な食品を生産し、そこから利益を見出すという3つの考え方を実現しようとしている事が非常に珍しいと思ったと同時に、参入への余地もあると分かったからです。
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ターニングポイントになったのは、オークランドのレストランを訪れた時のことです。ウェイターが、ニュージーランドビーフはないというのでなぜ?と聞いたところ、質の保証が出来ないと言うのです。代わりに美味しいオーストラリアンビーフならあると言われました。その出来事を機に、なぜ現地の生産物を手に取ることが出来ないのか考えるようになりました。

社員は何人いますか?
20人です。ScarecrowやゴードンシェフのHomeland restrauntを含む、約40件余りのリテール、カフェ、そしてレストランに商品を卸しており、農場のあるベイ・オブ・アイランドから、オークランド、ケンブリッジ、ワイヘケ島へ配送も行っています。コロナウイルス感染症流行の中界はとしては拡大し、6人だった従業員を20人にまで増やすことが出来ました。

どうやって資金調達しましたか?
設立以来、自己資金で運営してきました。食品製造拠点としてノースランドに2500ヘクタールの土地を、そしてそのモデルをニュージーランドのあらゆる地域で再現していきたいと考えています。又、同じような考え方を共有する農家の皆さんとパートナーになりたいとも思っています。販売促進のための資金調達も視野に入れています。

今後3か月間で特に力を入れていく分野は何ですか?
6月に始めるデリバリーサービスです。これはノースランドとオークランドのお客さんが自宅で商品を受け取れるサービスです。前述したノースランドの農家が協力して商品を紹介するnorthlandprime.comというウェブサイトも作りました。現在所有する800ヘクタールの土地を2500ヘクタールまで拡大する予定もあります。

どんな長期的計画がありますか?
Durham Farmsの混合農業手法を例外ではなく基準にし、ニュージーランドの食物生産を持続可能なものにすることです。この目標を達成するためには、食糧供給が価値あるキャリアと収益を生み出し、環境を守りながら高品質かつ低価格な食品を作っていく必要があります。
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Durham Farmsには、それら環境と食品をセットで考え、今後500年間を見据えたビジネスプランがあります。食物生産が持続可能であるためには、農業が土壌や水路といったエコシステムの一部である必要があります。今後3年間のうちに2500ヘクタールに拡大し、その後ワイカト又はノースアイランドの他のエリアにも同じような拠点を作りたいと思ってます。

過去12か月で一番大変だったことは何ですか?
コロナウイルス感染症流行という変化球に適応する事です。幸運なことに、Durham Farmsには複数の収入源があるため、どこかひとつのマーケットが落ち込んでも他のエリアで回復することが出来ます。コロナウイルスは明らかにリスクでしたが、その危機を機会に変え、自宅デリバリーサービスを始めるきっかけにもなりました。

起業したいと思っている人へ、どんなアドバイスがありますか?
重要な事が3つあります。人、プロセス、コミュニケーションです。これら3つの要素が良ければ、会社も良くなります。

元記事;2021年6月7日NZヘラルドウェブニュース
記事名;Small Business: Durham Farms on mission to prove farming can be eco-friendly
画像元;www.nzherald.co.nz